部長は何を飲んでるんだろう。
ちょっと覗くように見ると、「俺もホットミルク」だと軽い笑みが返された。
なかなか上出来だ、なんて自己評価も忘れない。
「ところで、アツヤって、彼氏?」
「はい!?」
突然持ち出されたあっくんの名前に、中身を零しそうになった。
「カウンターで眠ってたとき、何度か寝言で」
さっき……?
……もう、やだ。
夢なんて見てないのに。
最悪。
あっくんの話なんて、したくない。
「部長は、あの店によく行くんですか?」
「え?」
突然の話題転換に、部長が目を見張る。
私がキーホルダーを落とした場所。
あっくんに最後通告をされた、あの店だ。
「……あぁ、あそこか」
視線を宙に舞わせたあと、なぜか、部長は急に顔を曇らせた。