……だよね。
出される飲み物に“NO”を連発なのだから。


「すみません、本当に……」


シュンとなった私を見て、部長が再び笑う。


「いいから飲んでみなよ」


いただきますと言って、口を付けてみた。
……ん? なんだろう、この甘い香りは。


「どう?」


部長が、心配そうに私を見つめる。


「……美味しいです。甘い香りがしますけど、何か入ってるんですか?」

「メープルシロップだよ」

「そうなんですか」


単純に牛乳を温めただけじゃないんだ。


「砂糖だと甘さだけになるけど、メープルシロップなら香りもいいしね」


なるほど。
そんなことにまで気がつくなんて、部長って繊細な神経も持っているんだな。