「何飲む?」
「部長と同じものでいいです」
「それじゃ、グリーンフィズにしておくか」
私に向かって軽く微笑むと、手を上げて店員に声を掛けた。
「部長は、どこの支社にいたんですか?」
話の糸口を見つけられずに、当たり障りのない質問をぶつける。
「さては、朝礼で俺の挨拶を聞いてなかったな?」
「あ、いえ……その……」
図星だけに何も言えなくて、「すみません」と頭を下げるしかなかった。
「ま、いいんだけどね。神戸だよ」
ちょっといじけた横顔を見せる。
傷つけちゃったかな。
それとも、話も聞けないような部下でガッカリさせたかな。
部長は片肘を突いて、運ばれてきたグリーンフィズの氷をちょんと弾いた。
必要以上に寂しげな素振りを見せる。