◇◇◇
「一体どういうつもりなんだ!?」
「ちょっと、あなたってば、そんなに大きな声を出さなくてもいいでしょう?」
仁王立ちになって私を責め立てるお父さん。
それを宥めるお母さん。
そのふたりの前で、私は小さく身を丸めた。
妊娠六ヶ月。
あまり目立ちはしないけれど、膨らみを増したお腹は、確実にその命を育んでいた。
もう中絶もできない。
誰に何と言われようと、産む以外の選択肢は残されていない。
この時をただ待っていたのだ。
「父親のいない子供を産むなんぞ、もってのほかだ!」
予想通りの父親の反応も、全然堪えなかった。
守るものができたことで、私自身だいぶ強くなったようだ。
「あなた、少し落ち着いてください。二葉ちゃんの身体にも障りますから」
今にも掴みかかってきそうな勢いのお父さんをお母さんが懸命に止める。
「お母さん、いいの。私が悪いんだから」
さらに縮こまるように頭を下げる。