そういえば、菊池部長とはランチもしたことがなかったことを思い返した。
「はい、ぜひ」
快く返事をした私に、「相原くんも誘ったんだ」という驚きのひと言を続けた。
部長も……?
「……どうかしたのかい?」
思わず黙り込んだ私に、部長は不思議そうな顔で尋ねた。
相原部長と顔は合わせられない。
遠くから姿を見る以外、会うことは許されないのだ。
「……あ、あの、菊池部長、私やっぱり、遠慮させていただきます」
「なぁに、遠慮なんてする必要ないから」
アハハと豪快に笑って私の肩を叩くと、半ば強引に私を社食へと連れて歩き出した。
社食へ着くと、すでに相原部長の姿はあって、菊池部長の隣に私を見つけると、途端に顔を曇らせた。
やっぱりと思わざるを得ない。
部長は、私の顔なんて見たくなかったのだ。
分かっていたつもりなのに、いざそんな表情をされると傷つく身勝手な私。
別れを選んだのは自分のくせに。