「それとこれとは話は別だ」
「別じゃない。部長の邪魔はしたくないの」
私の妊娠を知ってしまったら、部長はきっと友里恵さんとの結婚は取りやめてしまう。
部長と私を簡単に弾き飛ばしてしまう、あの友里恵さんのこと。
そんなことになったら、また部長にどんな仕打ちをするかわからない。
このまま友里恵さんと結婚すれば、部長は大好きな今の仕事を続けていけるのだから。
それを、私の妊娠でぶち壊したくなんてない。
「それじゃ、中絶するってことなんだな」
「……ううん」
「産むつもりなのか!?」
驚いて声を荒げるあっくんに、コクンと頷いた。
妊娠が分かったときから、答えは決めていた。
この命は私が守る。
「……どういうことか分かって言ってるのか?」
エゴだって思われるかもしれない。
理解してもらえないかもしれない。
産まれてくる子供のことをちゃんと考えろって怒られるかもしれない。
でも、私を選んで来てくれた赤ちゃんの命を奪うなんて、私にはとてもできない。
お腹にそっと手を当てた。