◇◇◇
「二葉ちゃん、最近食欲がないのね」
テーブルに並べられた料理を前に、お母さんが心配そうに私を見た。
「大丈夫か?」
あっくんも隣から私の顔を覗き込む。
「料理の腕、落としちゃったかしら」
筑前煮をひとつまみして、半分おどけて笑うお母さん。
首を傾げて、もう一度私を見た。
「ううん、美味しいよ。ちょっと疲れてるだけなの。ごめんね」
ほとんどを残して箸を置いた。
つわりは、予想以上に私の体調を崩していたのだ。
「そういえば、この頃、顔色も良くないわね」
立ち上がり、パタパタとスリッパの音を立てて私のそばに来ると、額に優しく手を当てる。
「……少し熱っぽい?」