「……少し熱っぽいか?」

「だ、大丈夫です」


久しぶりに間近で見た部長の優しい眼差しに、どうしたらいいのか分からなくなる。
視線を合わせられなくて、毛布の端をギュッと握った。


「……そんなにビクビクしなくてもいいのに」

「ビクビクなんて……」


違うの、部長。
ビクビクじゃない。
胸がドキドキして、収拾がつかないだけなの。
そう伝えたい想いは、飲みこむしか手立てがない。

自嘲気味に笑う横顔を見て、部長をひどく傷つけたことを思い知った。


「彼と……何かあった?」


一瞬、それが誰のことなのか分からなくて、首を傾げてしまった。


「お兄さん、だよ」


……そうだった。
私はあっくんと付き合っていることになっているのだ。

違うのに。
全部でたらめなのに。