ここはどこだろう。
ゆっくり目を開けると、見慣れない天井が私を見下ろしていた。
ベージュ色に囲まれたところに、私は横たわっていた。
「目、覚めた?」
シャーっというカーテンの音と共に、女の人が顔を覗かせる。
あ……医務室だったんだ。
「私……」
「倒れたのよ。なかなか目を覚まさないから、ちょっと心配してたところ」
私に優しく笑い掛けた。
そうか。倒れたんだ。
総務課長の指示を聞いていたところまでは覚えてる。
なんだか、ものすごく幸せな夢を見ていた気がする。
もう少し眠っていたかった。
「それと、稲森さん、もう病院へは行ってるのよね?」
「……私、そんなに悪いんですか?」
単なる寝不足じゃなかったの?
先生は丸い椅子を引っ張ってきて、私のそばに腰を下ろした。