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みんなと飲み会という気分でもないけれど、真っ直ぐ家に帰って、あっくんと顔を合わせるのはもっと辛い。

洗面所に食卓。
あっくんと鉢合わせしそうになる気配を察知すると、くるりと方向転換。
今朝も何度かあったニアミスは、何とかやり過ごしたけれど、このまま帰れば必ずあっくんと顔を合わせることになる。

ひとつ屋根の下に住んでいるという強みは、こういうときには弱みへと変わる。

乗り気じゃないまま、歓迎会へと琴美に引っ張られてやって来た。
居酒屋をおしゃれなバー風にしたような店は、控えめな照明が灯る落ち着いた雰囲気だった。

女子が少ないから寂しい。
そう言っていたはずだったのに、琴美はちゃっかりお目当ての池田くんの隣に陣取り、猛烈なプッシュをし始めた。
料理を取り分けてあげたり、ビールを注いであげたり、甲斐甲斐しくお世話をしていた。

邪気の籠った視線をさり気なく投げてみるけれど、全然気付かない。

何となくどの輪にも入れないし、誰かと話す気分でもなくて、私は個室を出てすぐ目の前にあった、ひと気のないカウンターに腰を下ろした。

テーブル席から聞こえる別グループの楽しそうな話し声を、片方の耳で無意識に聞きながら、何とはなしにスマホを取り出した。