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部長に迷惑が掛かるって、どういうことなんだろう。
そんなことを考えながら眠れない夜を過ごした夕べ、部長のスマホは繋がらず、気づけば朝を迎えていた。
ひとりきりで乗り込んだエレベーター。
閉まりそうになったドアに、手が差し込まれた。
「――部長!」
「おはよう」
「おはようございます。今日はいつもより遅い出勤ですね」
たいていは部署の誰よりも早く来ていることが多い部長。
私と出勤時間が重なることは、滅多になかった。
「ちょっと寝過ごしたんだ。夕べは仕事で遅くなったからね」
素早い動作で『閉』ボタンを押すと、まだ疲れが抜けないのか、小さな溜息を漏らした。
「スマホ、ずっと繋がらなくて……」
「あ、ごめんごめん。途中で電源が落ちちゃったんだよ。気づいたのが帰ってからだったから。遅くなって、二葉に連絡できなかったんだ」
「そうでしたか……」