首を横に振る以外、言葉も出て来ない。
総合職の社員ならまだしも、一般職の私が左遷なんて。
今朝のみんなの態度はそういう訳だったんだ。

この会社の常識では考えられない事態に、どうしたらいいのか途方に暮れるしかなかった。


「あ! 部長! 一体どういうことなんですか!?」


魂の抜け殻のようになった私の代わりに、姿を現した部長に琴美が詰め寄る。


「二葉が倉庫に異動だなんて、何かの間違いですよね!?」

「……実はたった今、人事部長に呼ばれてきたところだったんだ」

「それじゃ、相原部長も知らなかったってことですか?」


琴美の質問に、黙って頷く部長。

そんな……。
……でも、どうして?
上司の知らないところで、勝手に人事異動が行われるなんて聞いたこともない。


「そんなのおかしいです!」


何度も繰り返し抗議する琴美に、部長は「分かってる」と宥めるように肩を叩く。