電話の取り次ぎで、相手先の社名を間違えたことくらいならあったかもしれないけれど、それをミスだと吊るし上げられるのなら、それ以上の間違いは懲戒解雇にでもなってしまう。
「夕べ、私たちが帰った後に、掲示板に貼り出されていたみたいなの」
「……何が?」
「二葉の異動辞令よ」
「……私の……人事異動……?」
そんなことは初耳だ。
異動の内示自体も受けていない。
そもそも辞令は、上司から先に伝えられるものじゃなかったか。
「問題は異動自体じゃなくて、異動先」
「……どこなの?」
琴美の言い方が私の不安を煽る。
「第一倉庫」
「――倉庫!?」
倉庫と言ったら、左遷先の第一候補。
つまり、窓際族の集まりなのだ。
「……どうして私が?」
「だから、何かミスしたのかって聞いてるのよ」