「あ、ううん、何でもないよ」


漠然とした不安を話しても仕方ない。
何でもないと誤魔化した。


「社長から何か大きなプロジェクトでも任されるのかな」

「え?」

「相原部長だよ。最近よく呼ばれてるじゃない」

「……そうなのかな」


そういうことなら、いいんだけれど。
どこかそれだけじゃないような気がして、心が波立つ。

その後すぐに戻って来た部長の顔を見て、やっぱり気がかりは残った。

浮かない表情。
珍しく、眉間に皺まで寄せていたのだった。