「もちろん。行きそびれたお店に行こうね」
そう言うと、琴美はすぐに機嫌を直してくれた。
幸せいっぱいなのは、まさにその通り。
でも、あっくんと紗枝さんのことが気にならないわけじゃない。
あの夜から、あっくんは家に帰っていなくて、スマホも繋がらないまま。
私が帰ったのが土曜の夜。
連絡もなしにふた晩家を開けた私も、当然のことながら両親には大目玉を食らったけれど、あっくんは、土曜日も日曜日も帰って来ていないのだ。
正直、あっくんと顔を合わせるのはちょっと怖い。
あんなことがあった以上、今まで通りに接するには、少し時間がかかりそうだから。
でも、一体どこに行っちゃったんだろう。
「あ、相原部長も、今お昼なんだね」
考え込んでいた私の耳に届けられた、『相原部長』という名前。
咄嗟に、その姿を探してしまう。
部長は私と目が合うと、優しくニッコリ微笑んでくれた。
それだけで満たされてしまう私は、どれだけ部長のことを好きになっちゃったんだろう。
「なんか怪しくない?」
「え、何が……?」