「……もう私、部長の思うような女じゃいられないです」
ただそばにいるだけなんて、そんなにもどかしいのはイヤ。
形ばかりの恋人ではいられない。
「一緒に時間を過ごすだけじゃなくて……」
その唇に触れたい。
もっとそばで、部長を感じたい。
「……キス、しちゃダメですか？」
言った途端、部長に抱きすくめられた。
「二葉……」
いつもより低いトーンの声。
優しい声。
大好きな声。
髪を撫でる手が、私を抱きとめる腕が、私の鼓動をどんどん加速させていく。
「永遠に手に入らないんじゃないかと思っていたよ」
「……え？」
「キスしたかったのは、俺のほう。二葉に触れたくて、何度我慢したか知らないだろ？」
私を引き剥がし、コツンと額をくっつける。
すぐ近くで重なる視線がゾクっとさせるほど熱くて、胸が苦しくなった。
