「部長……」

「どうかしたのか? どこか具合でも悪いか?」


今度は心配そうに私の顔を覗き込む。

具合は……きっと悪い。
急展開で変わった自分の気持ちについていけなくて、この想いをどうしたらいいのかも分からない。

でも、部長に告げたい。
今思っていることを素直に全部。


「……好き、なんです」

「え……?」

「部長のことが、好きなんです」


一瞬、部長の瞳が揺らいだ。
夕べあっくんに『好き』だと告げた唇で、部長に『好き』だと告げる。

一晩で部長に心変わりだなんて、自分でも呆れてしまう。
でも、それが今の正直な気持ちだった。

……ううん、違う。
一晩で百八十度変わったわけじゃない。
部長に出会って、少しずつその角度を変えて、気づいたときには部長に真っ直ぐ向いていただけ。

部長は目を逸らさずに、私を優しく見つめ続けてくれた。

私の告白に何も答えてくれないのは、きっと、部長にとって私がまだそれほどの存在ではないから。
でも、それでもいい。