◇◇◇
バスローブに着替えて部屋へ戻ると、同じくバスローブ姿の部長は、ソファの肘掛けにもたれて目を閉じていた。
眠っちゃった……?
足音を立てずに静かに近づくと、かすかに寝息が聞こえた。
私のスマホに残されていた、部長からの着信を思い返す。
夜中にも何度か入っていたから、きっと部長も寝不足なのだ。
それなのに、こんなに遠くまで車を飛ばして来てくれて……。
愛しくて堪らなくなり、濡れた髪にそっと触れた。
隣に腰を下ろし、そのまま指先を移動させると、頬はひんやりと冷えていた。
まだ触れたことのない唇も、きっと冷たいに違いない。
起こしてシャワーを浴びてもらったほうがいいことは分かっているのに、もう少しだけ部長の寝顔を見ていたかった。
そうしてじっと見つめ続けていると、不意に瞼が開かれた。
「……ごめん、いつの間にか眠ってたみたいだな」
私を見て、照れ笑いを浮かべる。
そんな表情ひとつで、私の鼓動は簡単に乱れた。