「ここ、真っ赤だぞ」
頬にその指先が触れた。
急いで押さえて、恥ずかしさに俯く。
「……こんなところまですみません」
「どうして謝るんだ。二葉が我儘なんて珍しいから、嬉しかったんだけど。しかも、会いたいなんて言われればね」
部長は照れくさそうに鼻の下をこすった。
優しすぎる言葉に想いが溢れていく。
部長を裏切るようなことをしたくせに、それは止められなかった。
「……会いたかったんです」
会いたくて会いたくて、もうどうしようもないほどに。
よしよしと頭を撫でられて胸が高鳴る。
ドキドキして、目の前の部長の顔すら見られない。
十に時間前には想像もしていなかった心の変化に、自分でも戸惑うばかりだった。