「…急に、そんな事言われると…まじ困る」
「えっ、あ、ごめん…」
迷惑だった…かな?
そう、だよね。
「っ…あ、あのね…」
私がそう言うと
藤田は笑った顔をして
私の頭を撫でる。
ドキン
「…無事でよかった」
「…っー」
ど、どうして…
ドキドキしてるの…?
いみわかんないっ
収まってよ…っ!
「行くぞ」
そう言われて、手を握られる。
す、素直にならなきゃ…
言いたいこと全部…
「ふっ…!?」
しゃべろうとしたら、急に抱きつかれる。
藤田…最近どうしたの…?
「ふ、じた?」
「怖かったよな
ごめんな、最初っから気付いてやれなくて」
なんで、藤田が謝るの?
「だ、だから…怖くなかったってば…」
まだ、意地張るのか私。
「嘘だ、さっき涙目で怖いって言った」
「…言ってない」
ムスッとした顔で藤田を見ると、
なぜか笑う。
「わ、笑わないでよ…」
てかっ!!
なに、藤田に弱くなってんの!?
ありえないからぁー!!!
「わっ、わたし!帰るね!!」
そう言って
急いで走る。
だが
「待てよ」
腕を掴まれて、走れなくなる。
掴まれたところが
ジンジン熱くて…
私の顔だって…少し熱い…
なんでっ…?
夏稀side
「なーつーきっ♪」
「うおっ」
今は、昼飯中…って言っても
今からパンを買いに行くところです。
今日は、好きなおかずをいっぱい入れてもらったのに…
弁当を忘れるという最悪な事を…
「まだ気にしてんのー?」
「うん…パンじゃたりないよ…」
私、昼だけはお腹ちょー減るんだよね…
「あ、翔平だ!!」
私が落ち込んでるっていうのに…
遥は、彼氏に今日もメロメロだ…
「お前、弁当は?」
こんな話の掛け方するの、藤田ぐらいしかいないよね…
「見てのとーりだよ…」
「そうか…」
なんか言えよ〜!
何かおかずあげようか?とかさ!
奢ってあげようか?とかさ!
こういう時に、男発揮すんでしょー?
服とか買ってないでさー!!
「しゃーねぇな。こい」
と言われる。
なんかくれるのかな!?
「……」
そして、ついて行った場所は…
「コンビニ」
ここが…キラキラして見える!
そして、藤田が天使に見える!!
「なんか好きなもんひとつ選べ」
「えっ、奢ってくれんの!?」
まじで?
さっき思ってたこと、声に出ちゃってたのかな…?
それとも、藤田が?
「おう、昼休み終わるぞ。はやく選べ」
「ウィッス!!」
そして選んだのは
焼きそばパンとおにぎりが3つ入った弁当。
こんぐらいあれば…
「結構、食べるんだな」
「いや〜、おなかがすくんだよ~」
減った病!
とか話してると
電話が掛かってくる。
「もしもし?」
《もしもしじゃないわよ!
早く帰ってきなさい!授業始まれわよ》
「えっ、あ…嘘!やば!!」
《陸玖も一緒なの?》
翔平も心配したよね、
「うん、一緒」
《ならいいわ
ちょっと、陸玖に変わってくれる?》
「う、うん…」
なんかあったのかな?
「藤田、遥から」
「おう」
そう言って、藤田にスマホを渡す。
そのとき、手が少し触れた。
「っ…」
「もしもし」
藤田が電話に出たのを確認して
後ろを向く。
なななななっ…
バカなの!?
何今のでドキドキしてんの!?
しかも、藤田を相手に!
嫌いだっつーの!
藤田とは…
ただのっ
友達なの!!
たぶん…
陸玖side
笠原が弁当を忘れたせいで
今はコンビニにいる。
俺は別にいいけど
こいつ結構食うんだな。
コンビニを出ようとすると
笠原の携帯に一本の電話が入る。
遥からみたいだ。
てか、だいたい
翔平が余計な情報送らなければ
俺、こいつとコンビニになんて来る必要なんてなかったのに。
あのカップルイラつくんだよな…
おせっかいつーか
とか思ってると
遥が俺に用があったらしく
電話を変われと言われた。
「もしもし」
携帯を手に取り、遥に話しかけた。
だけどそっから聞こえた声は
《あ、陸玖!》
なぜか、翔平。
「お前なんで遥の携帯から…」
《俺ら、今日サボるな!
お前らもサボったら?んでさ!》
サボるって…
俺まともに授業受けてないんだから怒られるわ。
「うん?」
《ついでに告ったら?》
「……はぁっ!?」
急に言われたことにビックリして
つい大きい声を出してしまった…
それに反応した笠原と目が合うが…
なぜか顔が赤い笠原がいて…
すぐ目を逸らしてしまった。