君が私を愛し続けた理由



て、なにひとりで気にしてんだ。


席について、莉希ちゃんと目を合わせる。


「うーん…何から話そうかな…」


「ま、迷うぐらい、そんなにあるの…?」


「あります!超面白いんですよ!!」


藤田が…面白い?


そんな事があるのか…?


「中学って全部同じクラスだったそうで!」


「あ、うん!」


そう、全部同じクラスでほぼ席も隣。


行きたくない日だってあった。


「ふふっ…毎日帰ってくるとですね、最初夏稀さんの嫌味から始まるんですが、だんだん面白い話になってて、最終的に毎日同じ言葉を繰り返して、ひとりで叫んでるんですよっ!!」


嫌味…って…

「叫ぶ…?」


「あ、それは企業秘密です!」


口の前に小さく、バツをつくる莉希ちゃんにキュンとする私。


あ、私が絶対あんな事したら、爆笑されて終わりだな…


「結構話変わるんですが…」


数秒後


頬を少し赤らめた莉希ちゃんが、私の目をじっと見る。


ん?

と言う顔をしてると…


とんでもない事が、聞こえてくる。






「私…琉斗くんの事、小学から好きなんですよ…」


「へっ?」


あまりにも、急すぎて何がなんだか分からなくなってる私。


「お兄ちゃんって、確か中1からこの学校に通ってると思うんですよ。

私って、小4からで…」


莉希ちゃんの顔がミルミル赤くなる。


「なかなか友達できなかったんですけど…

琉斗くんが、友達を連れて私も誘ってくれて…それからよく話し相手になってくれたんです。」



「へぇ…そんな事が…」


琉斗も、そんな事ができる男になってたか…


「琉斗でよければ…」


「そ、それで!!」


私の話が、莉希ちゃんによって、途切れる。

「はい?」


「好きな人いるか、いないか、聞いて欲しいんです!琉斗くんに。

好きな人の名前まではいいので!!」


そう言われて、手をぎゅっと握られる。


涙目になって言ってくる、莉希ちゃんを見て、中学のころの私を思い出す。


1番、恋してた時期だったな…




「いいよ!!まかせて!」


聞き出せるかわからないけどね…


莉希ちゃんのタメに!!


「ほんとですか!?


良かったぁ…じゃあ、連絡先教えておきますね!」


「あ、うん!」


二人とも、携帯を出してそれぞれの、電話番号を教え合う。


「あ、LINEも…」


莉希ちゃんが、小声でいうことに、私はクスッと笑う。


「ID、これね」


「ありがとうございます!」




可愛いなぁ…


「夏稀さんは…好きな人とかいないんですか?」


「へっ!?」


急に聞かれて、ビックリする。


それと同時に、


「やっと、見つけた…」


藤田が私達の近くに来る。


琉斗と藤田。

2人とも、息が荒い。

走って探してたのかな…


「なんかごめん…」


そう言って、たまたま持ってた、タオルを藤田に渡す。


「すっげー、心配したんだからな!2人とも。

ずっと探してんのに、どこにもいねぇーし」


「ふっ…お兄ちゃん、素直じゃないなぁ」


「っ…お前は、黙れ!」


怖いぞ、藤田。


「莉希、ねぇーちゃんと、すっかり仲いいね!」


うおっ!


琉斗!!

お前、莉希ちゃんの事、呼び捨てで呼んでたのか!!


これは、いいムードだな…


「あっ!藤田と行きたいところあったんだった!!ごめん、帰り遅くなると思うけど、ふたりで帰ってて!!

琉斗!ちゃんと、莉希ちゃん送ってあげるんだよ!」


「はっ?!まだ、明るいし…」


「お前、それでも男か?!」


「分かったよ!!」


よし、

「行こっ!」


精一杯、藤田の事を引っ張る。


「お、おいっ!」


夏稀side


「お前…俺と行きたいとこあんのかよ?」


「え、あぁ…うーんと…あるよ!!」


ねぇーよ…


どーしよ…


「けど…

この格好じゃ…」


「え、あぁ…まぁそーだな…」


その場で、悩む2人。


突然、私の携帯の着信音がなる。


LINEだ。


それは、莉希ちゃんからで


<先程は、ありがとうございました♪

また、連絡します(*´︶`*)╯”



可愛いこと!!


どうやったら、こんなに差が…


「おい、いい事思いついたぞ」


「えっ、なに?!」


どうやら、藤田がいい事を思いついたらしい。


「お前、着替えろ」


「へっ?」


なぜか、着いた先は…


服屋。


ショッピングモールですね。




「な、なんで私だけ…」


「俺も買う」


あ、そう…


でもこんな高そうな…


「これでいいか?」


藤田が選んだのは、春色を表してるような、爽やかな色のワンピース。

「これじゃ寒いな」


「ま、待って…」


私、こんなの着たことない…


「なんだ?」

「こんなの着れないよ…恥ずかしすぎる…」


キャラじゃないし。


「え、じゃあ…


これは?」


そう言って、藤田が出したのは


ガウチョパンツ

「上は…店員だ」


たしか…ガウチョパンツって太って見える…やつ…


「お前、ガウチョパンツが太るとか言うやつ気にしてんだろ?」


「えっ…」


やっぱり、藤田はエスパーだ。


「大丈夫。

店員に聞けば、そんなの気にすることねぇ」


それは…そうだけど…


「すいません、こいつに合いそうなコーデお願いします」


「はい」

な、なんか、お父さんみたい…


ていうか、デートみたいなことしてるじゃん。




「おい、着替え終わったか?」


「う、うん…」


ちょっと…上が…。


店員さんが選んだ、インナーは

肩が出た、白いブラウス。


寒そっ

と思ったけど、肩がレースになってるカーディガンを着たら、そうでもなさそう。


「……っ…」


春だな、こりゃ…


まぁ、暖かいからいいけど…


「どうでしょうか?」


と聞かれているのは…私。


「えっ…と…藤田!!」


「なんだ」


俯いたまま、返事をする藤田。


「これを…どうするんでしょうか?」


敬語になって、聞いてみる。

そしたら、店員さんが、フッと笑った。


「凄くお似合いですよ、買われてみては?」


圧だな。


買えっ!!みたいな?


「買います、ので…!」


焦ったように、答えを出す藤田。


どしうした。様子がおかしいぞ。


「お買い上げ、ありがとうございました!」


「私、お金出したのに…」


なぜか、藤田が全額払い。



「こういうのは、男が出すの」


そうなの?







「次は、私が払うよ」


「俺の物だから、俺が払う」




ん、?


じゃ、じゃあ…この服も藤田…の?


「お前、勘違いするなよ。

その服は、お前のだよ」


な、なんだ…


ホッと胸をなでおろす。


「ね、ねぇ…ここに入るの…?」


いくら、男っぽい女の私だとしても…このお店は…


男がいっぱいいすぎる。


「おう。いやなら外…ダメだ、付いてこい」


えーっ!

外で待ってた方が良かったのに!!







「人気店なの?」


男の人…この店で埋め尽くされてるよ…


「まぁ…俺は好きだけど」


「へぇ…」


男子と買い物なんて、久しぶりだな


金具がいっぱい使われてんだね…


ロックだな!


あれか?

藤田も、将来ミュージシャン目指してるのか?


「カタコトうるせーな」


「あんたが、選んだ靴でしょ」


しょうがない。

ヒールなんてあまり履かないし。


「似合ってるからいいけど」


「え?なんか言った?」


「別に」


なんか…ロック専門点なのかな…


さっきから、ドギツイ男性が私を見てる気がする。


そして、人が多いからか、ものすごく暑い。


おまけに買ってもらった、鞄を見る。


入るかな…


ま、いっか


カーディガンだし。

そう思って、脱いで鞄にしまう。


あっという間に、肩に冷たい風が透き通る。


「お前っ…」


「ん?」


あれ、?


みんな見てる?



「え、と…?」


「こっちこい」


やばい…怒られる。


「なんでそこで脱ぐかな…」


「暑かったから…」


髪をクシャクシャして、私を睨みつける。


ごめんなさい


そのヒトコトが言いたいのに、出てこない。


俯く事しか出来ない私。


ため息しか出ない藤田。


「ま、いーや。GU行こうぜ」


「えっ、GU!?」


あのパンクな店からGU!?


予想外だったぞ…