「白井、じゃあ腹筋と素振り、ランニングを済ませてくれ」


「はいっ」


先生、わたしはあなたのためなら、腹筋背筋スクワットランニング、どれも苦じゃありませんよ!


……そういう自分の思考に苦笑しながら、わたしは道場の奥の畳で、腹筋を始めた。



そして。


午後六時、最終下校時刻。


「お疲れ様でした!」


「お疲れ様!」
 

輩たちを笑顔で見送ってから、わたしは内心ふかくため息をつく。


ああ……部活が終わってしまった……、


わたしの、先生とのハッピー☆ライフ(?)が……。


家に帰るのは憂鬱じゃないが、わたしには母がいない。


亡くしたのだが、幼かったためか、葬式などの記憶がいっさいないのだ。



 父は仕事で帰ってこないだろうし、わたしのうちは一人だとやたらと広く感じる、歴史ある旧家だ。