わたしはうなずくかわりに横目で鼻を鳴らした。
「……あっそ。それでさ、もうおれも頭に来て。
『なんでいちいち文句言うんですか』って言ったらこうなった。
あの人たち、柔道部なんだ。強いんだよ」
「…………」
柔道部か……。それでも、わたしにはあまり強そうには見えなかった。
それも当然のことだろう。
優秀な柔道部員は、乱闘なんてやらかさないし、自分の技を使う場所をわきまえている。
それにしても。
「お兄さん勇気あるねえ……。
先輩に向かって直談判かあ……それはかっこいいというか、猪突猛進というか……」