さすがのこいつでも、犯罪をしない程度の理性は残していたらしい。
その代わりにか舌打ちをして、わたしを恨みがましい目で睨んでくる。
「これに懲りたらいじめなんてダッサイ真似やめなさいよ。
今度見かけたら警察に通報するから。
交番に行って、『おまわりさーん、こわいおにいさんにぶたれたー』って大泣きするから」
「このクソガキ……」
「天才少女って呼んでくれない?」
さらりと髪をはらう仕草をしてみせると、二年坊たちはあからさまに苦い顔をした。
そして「覚えとけよ!」と定番の悪役のような捨て台詞を残し、去って行った。