鈍い音。



一年生が頬をかばって倒れたのを見て、さすがのわたしも演技をやめた。



「ちょっと」



「ああ⁉」



幼稚園生が見たら、ほぼ完璧に泣き出すような顔で、こちらを睨んでくる二年坊。


しかしわたしはあいにく、ただの幼稚園生ではない。



「二回目だけど、よってたかって下級生いじめてバッカじゃないの?


それとも誰かとつるまないとやっていけないわけ?


どっちにしても恥ずかしくておんなじ人間やってられないわね。


ていうかむしろ人間じゃないかな。


あんたたちのその脳みそはそうね、類人猿だわ。


アウストラロピテクスね」