名前は……はるみ。 どんな字かは覚えていない。 そしてつまるところ、わたしは幼少期、 彼女を嫌いなうえに興味もなかったということだ。 「そのぬりえちょーだい。みさきちゃんにしては、じょーずだから、 はるみがぬったことにしてあげる」 なんだこいつ。 どこかのマンガのガキ大将のようなセリフに、思わず口がひきつる。 「ねーなにしてんの。はやくちょーだい」 ……もう一度言うぞ。なんだこいつ!