「……時沢……」
わたしは呟く。
……なんだ、こいつ。意外といいやつなのかもしれない。
きちんと過失には頭を下げられる者には、人徳が集まる。
「……気にしないでいいわよ。それよりわたしは、未緒を救えてよかった。
それにあのメモも、あんたのしわざだったんでしょ?
あれ、未緒は書いてないって、ショーちゃん言ってたもの」
「……そうですか。ああ、ならついでに部下の、
『経過観察する時、気づかれた。あまりいい印象を与えなかったかも』
……という視線のことも許してやってください」
……あの気味の悪い、観察されているような視線はこいつの部下のものだったのか。
しかもついでとは……なんというひどい上司だ。
こんなのを王にしていていいのか、『時界』よ……。