おれがあなたを救った理由は、二つあります。


一つは、あなたがあそこにいることで、救えた命があったことです……わかりますね?


もちろん、高津未緒さんです」


「!」



未緒が……わたしがいることで『救える命』だった?


その言葉が示す意味に、わたしは蒼白になる。



「まさか……未緒は、わたしがあそこで助けなかったら……誘拐されたまま亡くなってしまったってこと……?」



時沢は頷く。


……やっぱり、そうだったのか……!



「高津未緒さんは、日本に、そして世界にとって進歩するのにいなくてはならない存在だ、と『時界』では結論付けました。


彼女を救うために選ばれたのが、ちょうど死期が近づいていた白井先輩、あなたです。


代償として、時を越えるとき、大切な人の記憶を失ってしまうのはありましたが……、


あなたには適性があった」