わたしが目を閉じようとした、その時。



「美咲っ!」



バタン、と戸を開けて、あわてたように病室に入ってきたのは、黒髪の美少女と、整った顔の少年。


心配して、来てくれたのか。


……この二人に、最後に会わせてくれるなんて、時界の王とやらも粋なマネしてくれるじゃない。



ありがとう。


この一か月間、わたしはとっても楽しかった。飾らない自分でいられて。


だから、出来るならば。




「……またね、二人とも」




さよならは言わないで。





十年後の世界で、また会おう。