彼はそんなわたしにちらっと一べつをくれると、指をパチンと鳴らした。
「ではさっそく十年前に行ってもらおうか」
……え。マジで?
「あの、少し早すぎませんでしょうか」
遠慮がちにそう言ってみるものの、とりあってくれそうな雰囲気じゃない。
そもそもわたしはすでに死んでいる身なのだ。
心の準備などないも同然、と言われたら否定はできない。
「わ……わかりました。がんばります、生き返るために」
「うむ、いい心構えだ」
いや、あんたが言うなよ。
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