……でも、捕まってしまっていたら、意味はない……。
男もそう思ったのか、少し焦ったような顔から、余裕を取り戻した表情に戻った。
「だが、やっぱりお前には関係ない。なにしろもう捕まっているんだしな」
「……だったら、やとわれのお前にも関係のない話だろ?
ちゃんとバックのことはわかってるんだ。そうだろ?S製薬のライバル会社……、
Y製薬!」
「え……」
わたしは、聞き覚えのある会社名に息を呑んだ。
Y製薬、って……もしかして。
「そうだよ、高津さん。ホームページで、高津さんがこっそり書いてた記事に載ってたのを見たんだ。
新薬開発は、もともとS製薬もY製薬も共同でやって……、
成功したほうが情報を手に入れられるって話だったんだろ?」
「……!」