たしかに、新薬のデータのありかをさんざん探ってきたから、
何かあるんだろうとは思っていたけど……、本当になにかあるなんて。
それじゃあ……山内くんが、危ない。どうしよう。
しかし。
「……知らないわけないだろ?こっちはちゃんと下調べして来てるんだ」
「なんだと……⁉」
彼が放った言葉は、わたしにとっても予想外のものだった。
……いったい、どういうこと?下調べして、ここに来たって……?
しかし、考えられないことではないのかもしれない。
山内くんは、何者かが残したメモを、わたしが助けを呼ぶために書いたメモだと思って、ここに来たというのだ。
だったら下調べをしていてもおかしくはない、かもしれない。