男は、いらだったような声でそう言うと、ギリッと歯ぎしりする。
「……いってえ……」
わたしと同じように、後ろ手を縛られた少年がつぶやいた
。突き飛ばされて、痛そう……と思うより先に、わたしは驚く。
その声は……やはり、わたしの知っている人のものだったからだ。
そう、この人、は……。
「山内、くん……?」
「……高津さん!やっぱりここにいたんだな!」
少年……山内くんは安心したように顔をほころばせる。
「ほんとに、あのメモに気がついてよかったよ……。
どこか怪我したりしてないか?」
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