食パンを食べ終わり、わたしは特にやることもなく、ただボーっとしていた。


脱出方法は、ひととおり頭の中でシミュレーションしてみたけれど、成功確率は低そうなものばかり。


昨日みたいな尋問もないし。そろそろ、警察の人は動いてくれたりしないのだろうか。



……無理だろう、とすぐに思い出す。



もとから近所づきあいなんて、してない。友だちなんていない。


美咲は親友だけれど、職業体験は昨日で終わりだ。


母親も、連絡がとれないとわかっても、一日二日じゃ特に気にしないだろう。


多忙な人だ。仕方ない。



「……どうしよう」



やっぱり、怖い。帰りたい。


しかも、なんだかさっきから、外が騒がしい。誰かが言い争っているのかもしれない。


……さっきの男と、彼の仲間だろうか。