代わりに玉座のかたわらには、神々しいまでに人間離れした(人間じゃないけど)美貌を持つ天使がいる。
「貴女が白井美咲か」
うわっ、しゃべった!きれいな声!
どぎまぎしながら、うなずく。
…もちろん猫はすでにかぶっている。
「はい。確かにわたしが白井美咲でございます。
……あの、もしよろしければわたしがここに連れてこられた事情について、おうかがいしたいのですが」
言うと、わたしのとなりの天使が、変な生き物を見るような視線を寄越してきた。
なんであんたまで、時沢みたいな顔をするのよ!
「わたしは天使長。力が衰えた今は仮の姿だが、昔は大天使と呼ばれていた。
おそらく貴女も知る名だと思うが、ここで言うべきことでもないか」
なら最初からなにも言うなよ。
と、言いたい気持ちを抑え、わたしは笑顔を保ち続ける。