「美咲さん、じゃあ、はじっこの方で読みましょう」 「……う、うん、みおおねえちゃん」 不自然にならないよう、わたしはあわてて舌足らずな声で返事をする。 そして、突如言われた『相談』というワードにすっかり気をとられていたわたしは、 『師匠』と呼ばれたことを注意することをすっかり忘れていた。 童話の本を開き、壁のはしっこの方でわたしをひざの上に座らせたまま、 高津さんは口を開いた。