研究だかシミュレーションだか知らないが、
高津さんはそのおかげでだいぶ笑顔が増えてきている。
……よかったわね。
「みさきちゃん、あーそーぼ!」
「いいよーっ、なにしてあそぶ~?」
なんだか、寂しいなあ。
わたしはクラスメイトたちに手を引かれながら、しみじみとそんなことを思う。
確かにわたしには記憶がないけれど。
もう少ししたら、わたしの母親が亡くなった日になる。
わたしには、彼女の葬式の翌日からの記憶はあるのだ。
……つまり。
わたしが……以詰面学園中等部三年の『白井美咲』が、この世界から消えるまで……そんなに日はないのだ。