キキキキキィ‼



 一瞬、何が起こったのかわからなかった。


体を襲う、この鈍痛はなに?


どうして、視界がかすんでるの?


「大変だ!はやく救急車を…」
 

かの声が聞こえる。


意識の奥底で、ぼんやりと考える。


あれ、なんだかあたたかいなぁ……。


ここで、死んでしまうのかな。わたしには、ここでなんか死ねない理由があったはずなのに。


でも、なんでだろう。


大切な人の名前が、思い出せない。



ゆっくりと幕を下ろすように、わたしはまぶたを閉じる。


意識さえも失って……,




もう、何も聞こえなくなった。