「…お前、このタオル買いてえの?」


え、えっと…まだ買いたいってわけじゃないんだけど…。




「ま、まぁ…。…櫂こそ何を取ろうとしてたの?」





「俺もそのタオル。」




う、嘘ー!どこまで奇跡なの⁈




「つか、これ男物じゃね?誰かにあげんの?」


翔平さん…って言ってもわからないよな



「んー。ちょっとね。」



私がそう言った後、櫂が少し笑った。




「それって彼氏とか?」



か、彼氏⁈


「彼氏なんているわけないじゃん‼︎」


私は即座に答えた。



「友達のプレゼント探しに付き合ってんの」



私は続けて言った。




すると櫂はまたクスッと笑った。



「そういうことか」


「このタオル、櫂が買っていいよ。というか買ってくれたら嬉しい。」

友達の彼氏さんに使われるより櫂が使ってくれた方が私にとっては嬉しいから。

「あ、わりい。さんきゅーな。」


櫂は棚にあるタオルを手にとり、カゴにいれた。


確かにこのタオル、櫂に似合ってるな。






「青羽ー?」


少し向こうの方から声が聞こえてきた。


渚だ。



「…じ、じゃあ、友達が呼んでるから」



櫂にいつ会えるか聞きたかったけど渚たちが待っているからメールで聞こう。

そう言ってこの場から去ろうとした。





「あ、ちょ、待て。」

櫂が私の腕を掴んだ。

「え、な、何⁈」



「…明後日そっちに行くから、いつもの場所で。」


そう言って櫂は掴んでいた手を離す。






「…っあ、うん。詳細はまた後でメールして。…時間とか。」


私は櫂に小さく手を振った。


櫂も振り返してくれた。



「青羽ー?どこー?」


私は返事をして渚の声のする方へ向かった。