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私はゾッとした。
1、2ページの写真とは違う表情を見せている男の子。
駅の前でキャリーバッグを持っている男の子。でも、その目には光がなかった。
笑顔が消えていた。
1、2枚目とは全く違う雰囲気の新築の家の前で撮った写真もあった。
その写真の中でも男の子は笑っていなくて、今にも泣き出しそうな顔だった。
私は胸が苦しくなり、ふとサヨおばちゃんを見た。
「引っ越し…したんですか?」
おばちゃんは静かに頷いた。
「隣町の都会へ。別にそう遠くはないんだけどね〜、あの子好きだったの。ここが。この町が。」
確かに1、2ページの写真の中の男の子はすごく笑顔で…自然と生きてるなって感じの写真だった。
「毎日、保育園から帰ってきては外で遊んでてなあ〜。裏山で秘密基地とか作ったりしてたなあ〜。」
サヨおばちゃんは遠くを見て言った。
「今は部活ばかりで、たまに遊びに来るぐらいさ。ははっ!」
おばちゃんは笑ったけども、私には無理矢理笑っているようにしか見えなかった。
「…会いたいとは思いませんか?お孫さんに。」
「そりゃあ、会いたいさ。でも、部活忙しいだろうし、我慢するしかないしのお…」
部活が忙しいのか…。
「ここ半年は来とらんし、あの子が何かに夢中になっとるならそれでいいんじゃ。」
そんなの…。
「でも、あの子本当にここが好きだった。今でもこの場所に来ててもおかしくないくらいに愛していたはずなんだが…少し寂しいのう…」
私も胸が苦しくなった。
電車ですぐに来れるこの場所なのに、こんなにもここを愛しているのに、どうして遊びに来ないんだろう。
部活だけじゃなく、何か理由があるはず。
会うことができたらいいんだけど…