本屋に着き、私は中に入る。



「あのー!サヨおばちゃんいますかー?」





数秒経ってから中から返事が来た。




「はーいーちょっと待ってねー」



中からバタバタと慌ただしい音が聞こえてきた。



カウンターの後ろのドアからサヨおばあちゃんが出てきた。




「わざわざごめんなぁー。ちょっと中上がってくれるかね?」


「あ!全然大丈夫ですよ!」

わー!サヨおばちゃんの家に入るの、久しぶりかも!

最後に入ったのが中学生の頃だったからすごく久しぶりのような気がする。




「おじゃましまーす」


私は中に上がった。


ツンとくる昔の家のにおい。このにおい、独特で懐かしいなあ。




サヨおばちゃんは私をキッチンの方に案内した。


「ちょっとお荷物になるかもしれないけど大丈夫かねえ?」

「今日は割と荷物が少なかったので大丈夫だと思います!」



お荷物になるってことは何かもらえるのかな…?


そう思っていると、サヨおばちゃんが冷蔵庫の中から桃を3つ取り出した。




「わあ!大きくて綺麗な桃ですね!」


「だろう?知り合いが桃を作ってて、今が丁度収穫の時期だろ?だからたくさんもらったんだよ」



「わああ!いいんですか⁈こんな立派な桃!」



「構わん構わん。気にするな」

お、おばちゃん…!


「疲れただろうしジュース飲むか?」


「いえいえいえ!帰ります帰ります!」



「ほらほら遠慮するんじゃないよ。年寄りの楽しみに付き合わんかね」


うっ…。…私はサヨおばちゃんのティータイムに付き合うことにした。



おばちゃんは私をとある部屋の前に連れてきた。


「この中で待っててなあ。ジュース持ってくるよ」

「あのっ…」
私が声をかけた時にはおばちゃんはもう行ってしまった。


私は中に入る。ふわっと古い本のようなにおいがした。



ここは書斎…?

古い本がたくさんあって、本の量が多すぎで本棚の上に積まれている本もある。


「うわあ…すごい…!」


部屋全部が本に囲まれてて、読書好きの私にとってはとても居心地のいい空間だった。