しばらく夢中で走り続ける。
疲れて少し遅くなってしまっても櫂がスピードを私に合わせてくれる。
ー駅に着いた。
彼は慣れた手つきで切符を買う。
彼に続いて私も不器用な手つきで入場券を買う。
あんまり駅とか行かないから慣れないな…。
櫂は私が券を買い終えると手を伸ばしてきた。
「行こ。」
私と櫂はホームに向かう。
ホームには人がちらほらいた。
なんとか間に合ったみたい。
「わざわざお金払ってまでごめんな」
…?あぁ、入場券のことか。
「ああ!これは私の勝手だから!いいよいいよ全然!」
「今度は明後日くらいに来ようかな」
明後日…?あ、休日か。
「うん!わかった!会えたらいいね!」
「…会えたらっつーか…なあ、どっかで待ち合わせしねえ?」
櫂がうつむきながら言った。
ま、待ち合わせ⁈
「や、別にそんな感じの意味じゃないからな!ほら…写真撮れるいいところないかなって。お前地元の人だし。」
あ、そういうことか。なるほど。
「空いてる?明後日。」
「あ、うん!空いてるよ!てか櫂、顔真っ赤!」
りんごみたいにほんのり赤くてなんかかわいい…!なんてね。
「は⁉︎うっせえな!」
なんかかわいいなあ。
「…とにかく明後日は自販機のある商店の前でいい?」
「わかった!」
しばらくすると発着メロディが駅のホームに鳴り響いた。