その足音は私の真後ろで止まった。
「……海、キレー。」
少し低い声が後ろから聞こえた。
思わず振り返ると、お昼にジュースをくれた、あの高校生がいた。
「あ、お昼の…」
「あ!ジュースいただいてます!」
「…ここで何してんの?」
や、あの、ぼーっとしてたとは言えない…。
「えと…考えごとしてました!」
「…へー。ここ、よく来るの?」
「一人になりたい時はよく来ます!」
なんて話ししてたら、その人は私の一段後ろの階段に腰掛けてきた。
昼の時は暑くて、顔とか見てる余裕なかったんだけど…
少しかっこいいな…なんてね。
初対面の人なのに…何考えてんだろ。
「ねえ、あんた高校生でしょ?何年?」
「高1…」
「なんだ!俺と同じじゃん!俺も高1!」
「あ、そうなんすか…!」
同い年には見えない…!背高いし、大人っぽい!
「同級生なんだから、敬語ナシな」
彼はニカッと微笑んだ。
トクッ…胸が少し高鳴るような感じがした。
どうしてだろう?
「全然、同級生に見えない!やっぱり都会の人って大人っぽいんですね!」
「そうか?別にフツーだと思うけど。
俺はむしろあんたのこと高校生だと見てなかったわ。」
…な、なんですってよ?私がもっと大人に見えたのかな?
「中二くらいだと思ったわ」
…は?ひどい!
「ひどい!なんで見ず知らずの男子高校生にそーゆー風に見られなきゃなんないの⁈」
「ハハッ!ごめんごめん。あ、ねえ名前は?」
「日下 青羽。青に羽っす!」
「ふーん。俺、桐谷 櫂(キリタニ カイ)」
…ふうん…櫂くんっていうんだ。
なんか雰囲気でもそんな感じの名前がする。
爽やかで蒼い感じの人だなって思った。