「ねぇ!知らないフリはマズイわよ」

「麻里子、声が大きいよ」

「これって、ひき逃げになってしまうわ!」

「とにかく落ち着くんだ」

 時速は20キロ。

 車は、現場からどんどん離れて行くなか、麻里子は真一と背後を交互に見ていた。