「愛、良いんだよ」
「っ!…でも」
「愛、こんなのアンタらしくない」
ハッとなる。
あたしは真っ直ぐに、愛の目を見た。
「愛、アンタはこんなことで怖じけずくやつだった?
違うでしょ。
アンタはいつも真っ直ぐだったよ」
真っ直ぐすぎて、折れたときが怖かった。
支えないとって思った。
今が、そのときかもしれない。
「…愛、落胆する気持ちはわかるよ。
でも、だからって諦めちゃダメだ。
人を信じるのを諦めるのは、それだけはダメ」
「……美咲」
暗い瞳に、少し光が指した気がした。
「二島はさ、何か理由があったんだと思う。
黙っていなくなるようなやつじゃないって、わかってるよね。
だから、アンタは待ってた」
黙っていなくなるやつが、銀狼の次期総長なんて歌われるはずがない。
「次会ったとき、頬に一発お見舞いしてやんな。
アンタがしないならあたしがする」
「いやぁ~二島君気の毒だなぁ…」
「…プッ、ハハッ」
花が咲くように、愛は笑った。
それは寂しそうで、楽しそうで、儚い笑顔だった。