「結衣、なんかわかった？」
愛のクラスの女子と話していた結衣を見る。
その顔にはもう、人懐っこい笑みが貼り付けられていた。
でも冷静じゃない、明らかに焦りがあるのに気づく。
他人から見たら気づかないかもしれないけど。
「こっちも同じ事しかわかんなかった～。
でもね…ひとつ気になること聞いてさ」
結衣が急に声を潜めた。
形のいい眉が寄せられる。
この子はそうだ、小さい頃から変わってない。
自分の兄の話をするとき、決まってこうなる。
だから、たぶんうちの兄にも少なからず関係があるのかもしれない。
少しだけ、罪悪感を感じた。
愛を、巻き込んだかもしれない。
