「――愛ちゃ~んって、あれ?」
「どうした、結衣」
教室を覗き込んでいた結衣がピタリと動きを止めた。
人懐っこい笑みが、一瞬だけ剥がれる。
そこには冷たい結衣。
「…愛ちゃんがいない」
「え」
柄にもなく変な声が出た。
でも今はそんなことどうでもいい。
「ちょっと、そこのアンタ」
教室から出てきた男子を適当に捕まえて声をかける。
「んだよ」
「一条 愛って知らない?
一応、アンタのクラスなんだけど」
「一条?そいつなら五限目に早退したけど?」
早退?
あの元気が取り柄の愛が?
あり得ない…。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…