「じゃ、行くか」

どこかほっとした様子で二島君は言った。

「どこに行くの?」

「ちょっと待ってろ、チャリ持ってくる」


そう言って行ってしまった。


…置いていかれちゃった。

ついていったがよかったかな?

でも自転車取りに行くだけだし、すぐ戻って来るよね。

うん、大丈夫。


あたしは待った。


でもその日、十分、二十分…三十分待っても、二島君が戻ってくることはなかった。