「あんた――」


美咲があたしの肩に手をおいた。

カタパン!?って思ったけど、美咲の手は優しかった。


「よくやった」

「…え」


戸惑うあたしに、美咲はフッて笑った。

あ、美咲ってやっぱり笑うと通常の何倍もきれいになる…。

なんとなくだけど、労ってくれてるってわかった。

お疲れ様、もう肩の力抜きな。

彼女の笑顔が、そう言ってくれてるみたいだった。


「愛ちゃんすごいよ、珍しく」

「一言余計だったよ結衣!?」

ツッコムあたしにクスクス笑いながら、結衣は頭を撫でてくれた。


「「頑張ったね」」

「……」




あぁ、もう。


だからあたしは二人から離れられないんだ。


家族がいってくれない言葉を、二人はあたしにいってくれる。

いつでもあたしに、ほしい言葉をくれるんだ。


あたしと二人に、溝はたしかにある。

埋められないものも。

共有できない部分も。


それでもあたしが二人から離れないのは、そばにいたいって思うから。


この暖かな時間が、あたしは大切だから。


「…へへ、もぉ緊張したよ~!」

潤んだ瞳を隠すため、あたしは目を細めて笑った。