結衣があたしの弁当箱の中を覗いてきた。
「料理上手だよねぇ~愛ちゃん」
「そうかな?」
あたしは父母どっちも仕事で忙しい。
小さい頃からそうだったので、自分の身の回りのことをするのはもう当たり前のことだ。
だから、こうして褒められても、いまいちピンとこない。
「きっと将来、いぃお嫁さんになるよぉ~」
「ははは…」
実は、ちょっと二人が羨ましい。
あたしはお母さんの料理を食べたことがない。
もちろん、お父さんのも。
今じゃ当たり前で平気でも、昔はよく駄々をこねた。
それでおばあちゃんを困らせたっけなぁ。